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2009年5月

丼飯

彼女とふたりで近所のラーメン屋に行った。僕はいつもその店ではラーメン屋にも関わらずサイドメニューの丼飯しか食べないのだが、今日はたまたま彼女も丼飯を注文した。

すると、いつもはサービスで丼飯に付いて来るスープが出てこなかったので、彼女と二人して店主が怒っているんじゃないかと小声で話しあった。心なしが店主も不機嫌そうだ。

後で二人で感想を述べ合ったのだが、僕の感想は「うちはラーメン屋だ!と怒っているに違いない」というもので、利害得失に敏感な5種の彼女の感想はというと「二人分の丼飯の値段でも、ラーメン一杯分の値段にもならないから」というものであった。

モノの見方には、その人独自の感性の癖があって、なかなかその枠から離れた発想は出来ないものである。

書を捨て街へ出よう

以前、訪問で整体をしていたことがあった。当時は田園調布に整体を求める人が多かったのだが、そこは言わずと知れた高級住宅街である。

お屋敷に上がると、壁一面がテレビ(何インチなんだろう?)というお宅もあったが、そういう所へ行って、「体がなんだか温かくなりました。これはなんですか?」「気です」と、いかがわしいことこの上ない仕事をしていたのが僕である。まあ、いろいろとたいへんな思いもしたのだが、おもしろいものもたくさん見れたし、修行になったのでよい思い出である。

さて、野口整体(整体操法)というと、「気」というのが大きな特徴である。東洋的な身体観と共に気は独自の世界観を形づくり、野口整体の魅力となっている。

しかし、気を人に語る時には常に説明の困難がある。そこにはナメコの味を口で説明する様なもどかしさがあって、気を理解してもらう為には体験してもらうしかないという事実があるのである。

野口整体の書籍を読んで興味を持たれる方は多いのだが、実際には読み物としては楽しまれても、なかなか身近な事としては感じられないという方も多い様だ。そういった方には、僕は整体教室へ参加されることをお薦めする。真実は、本の中ではなく人の中に存在するのだ。

整体教室6月のスケジュール

5月27日(水)13:00~14:30「背骨に触ってみよう」
5月27日(水)19:00~20:30「体癖を知ろう」                         
6月03日(水)19:00~20:30「活元」
6月06日(土)13:00~14:30「整体と美容」
6月10日(水)13:00~14:30「デトックス、お腹の調子を整える」
6月10日(水)19:00~20:30「背骨に触ってみよう」
6月14日(日)13:00~14:30「梅雨のダルさを取る」
6月17日(水)19:00~20:30「目の疲れを取る」
6月20日(土)13:00~14:30「活元」
6月24日(水)13:00~14:30「整体体操」
6月24日(水)19:00~20:30「愉気、行気」

教室にはどの講座からでもご参加出来ます。教室への参加にはご予約は不要です。

ほさか

うなぎ屋だ。自由が丘駅の北口改札を出ると、香ばしい匂いが漂っているが、そのまま匂いに付いて行くとすぐに見つかる。何時行っても人でいっぱいなのだが、お昼時は比較的に空いていて、時々うな重を食べに行くのだ。

25歳くらいまでは食べ物にも適当で、家に女の子が遊びに来て食事を振舞う機会があっても、丼飯と缶詰を何種類か出して、お好きな物をどうぞと大真面目にやって呆れられたものだった。ところが、最近ではちょっと食べ物に手を抜くとバテバテにバテるので、贅沢をする事にしている。

学生の頃に好んで通った定食屋があって、先日その店に久しぶりに行った。その店では洗面器の様な器にご飯とオカズがこんもり盛られて出て来るのだが、食べてみるとこんな不味い物を喜んで食べていたのかと驚いた。若いうちは食い物の味など分からないというのは本当だ。

野口整体ではあまり食養生を説かないが、量よりは質ということは注意する。たまにスナック菓子や菓子パンなどで腹を膨らませて、食べ物と関係のある胸椎の八九十番あたりを強張らせている人がいるが、そういった場合には何でもいいから良い物を食べることを薦める。旨いものであれば、少ない量でも腹は足りるのだ。

禁煙、断煙

煙草をやめた。短い蜜月だった。吸っていると喉をやられて咳が出るのだが、仕事中にそれでは恰好がつかないのだ。これはいけないと思ったので、TASPOを二つに割って、ライター、煙草の残りと共にゴミ箱に捨てたのが今日の話だ。

一度何かやり出すと徹底する性質なので、煙草も徹底して吸った。これがまた僕の仕事は一仕事の区切りがつけやすいものだから、一人終わってはまた吸い、また吸いということを続けて、すっかり喉がやられてしまったのだ。蜂蜜でも舐めて喉を労わる事にします。喫煙期間中にいらしゃった方には、咳をしてご迷惑をおかけしました。

野口さんはヘビースモーカーだったそうだが、テープの録音を聞くとよく咳をしている。無理もないなと自分で経験して分かった。まあ煙草も勉強になりました。

ひとりごと

インフルエンザに野口整体の実践者として、どの様な態度で臨むかということを書こうかと思ったのだが、ややこしい前提がありすぎるのでそれは止めておく。こういった話題も、野口整体に相当コミットした人間でないと当事者性はないから、問題意識も共感も呼ぶまい。失われた昭和の夢の話で、僕はその端っこにいる。

整体生活

若い頃から整体をされている方がいらしゃっている。僕のところに来るまではもう30年近くも操法とは無縁の暮らしをしていたが、それでも少し疲れると活元をやったり、愉気をしたりして体を整えていたとのお話だった。この方はとても弾力のある背骨をしているが、素晴らしいことだ。妙に先鋭化しないで、生活の中に自然と整体を取り入れて、自分のものにしてしまっている。こういう方が増えればよいと思う。野口整体というのはライフスタイルなのだ。整体の教室はそういった生活スタイルを伝える場でもある。

INOW

INOWはイタリアンの店だが、有機野菜にこだわっているのが特徴だ。昼食にビュッフェをやっているのだが、パスタを一品食べたら、何種類かある前菜が食べ放題なのだ。ワインも飲み放題なのが嬉しい。野菜にこだわっているというだけのことはあって、どれも新鮮だ。パンも自家製というこだわりがあって、たくさん食べてしまう。値段は1800円だが、昼時に自由が丘の駅前で割引券を配っているので、それを持っていけば200円の割引になる。場所はABCマートのすぐそば。

教室

教室では「骨盤を整える」ということをテーマに話とエクササイズを行なった。少しのエクササイズで、歩き方まで変わるのでみなさんにおもしろがって頂けたようだ。

巷では骨盤ダイエットが流行っているが、骨盤が整っていることは体には大きな影響がある。美容に限らず月経や妊娠などにも関係があるのだ。一概に骨盤を締めて、腰を細くすればよいといった性質のものではないので、骨盤ダイエットには誤解も大きい。

ところで、今回は卒業論文に野口晴哉さんをテーマにするという大学生が参加していたが、資料が乏しい人物なのでたいへんだろうとは思う。

僕も大学の卒論には中国の作家をテーマにしたが、資料の乏しい作家だったので苦労をした覚えがある。まあ、それだけに真っ白なキャンバスに絵を描く楽しさがあるのも事実だ。

レッド・ブロンクス

ジャッキー・チェン主演の「レッドブロンクス」が放送されていたので見た。彼の出演している作品は随分見たが、アクションがいつにもまして激しい。ジャッキー・チェンはスタントマンを使わないそうだが、実際にレッドブロンクスの撮影中にも骨折をしたそうだ。

ジャッキー・チェンには自伝もあるが、それによると全身の何十箇所も骨折をしているそうだが、たいしたプロ根性だ。自伝では俳優の養成所で、サモハン・キンポーに苛められた話なども紹介されていて、マニアには興味深い。

僕も骨折をしたことがある。工事現場で働いていた時のことだが、階段から落ちた。池田屋事件よろしく階段から落ちて転がったのだが、結果的に足首が折れた。そのまま現場監督の車で救急病院に運ばれたのだが、久しぶりに病院に行くこととなった。対応したのは整形外科の医師だったが、そこで僕は医学と整体の違いを知った。メスの使い方と人に触れるということは才能も訓練も異なるのだ。折れた足首を物でも扱う様に触れるものだから、恐くてしょうがないのだ。そこには勿論、信頼関係がまだないということは作用しているのだが、その医師の触り方というのは、とうてい人に触れることを訓練したものではないと感じられた。

最近、骨折に関した資料を読み込んでいるのだが、古い時代の医師の書いた本には徒手での整復法が多く紹介されているのだが、近年になって書かれた本を読むと、骨折した部分にはめ込むビスやネジを紹介するカタログの様な内容になっている。道具の発達によって、人に触れるということから、どんどん離れていくのだろうか。まあ、そうした感想も手技療術に携わる人間が持つアナログ趣味なのかもしれないが、なんとなくその様なことを思った。

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ダルさ

好転反応で多いのは、ダルい眠いというものだ。誤解されやすいのだが、整体の結果としてダルくなるのではない。元々体は疲れていたのだ。好転反応でダルくなるというのは、整体を受けて体が弛むことで、体は元々あった疲れを実感したのだ。

おもしろいもので、右足の調整を行なった後に、左足が痛むということがある。右足の動きの悪さを調整した後に健康だったはずの左足が痛むのだが、これはなぜだろうか。

これは普段、右足が動かない分だけ左足が働いていたのだ。それだけ左足に負担をかけていたのだが、右足が動きを取り戻すことによって、やっと左足は休まることが出来たのだ。

癌の手術などで胃を切った後には、腸が胃の代わりをして食物の消化を請け負うが、体には弱いところを強いところでかばうという仕組みがある。

一側

脊椎の指一本外側を整体では一側と読んで重要視している。一側には神経的な問題が反映されると考えているのだ。

脊椎も硬直度合が激しくなると、一側に硬結という組織の硬直が浮いて来る様になる。それはちょうど針の頭の先に触れた様な感覚として指には感じられるのだが、一側に硬結が浮く様だと、その脊椎の硬直も歴史の長い事が想像出来る。

ところがこの一側の硬結を処理するには、かなりの技術を必要とする。型の精度と訓練された敏感な指先が要求されるのだ。昔日、一側の硬結が弾ければ蔵が立つと言われたのだが、それは一側を処理出来るほどの技術があれば食っていけるという事を意味している。

5年ほど前に初めて一側を弾けたという実感を持った。一側には筋組織が縦に並んでいて、細い糸を何本かより合わせた様になっているのだが、それが竪琴を鳴らす様に綺麗に弾けたのだ。あれは嬉しかった。

最近来た方で腰椎がひどく硬直した方がいて、慢性の腰痛と不眠にお悩みとの事だったのだが、腰をみると腰椎一番の一側に硬結が浮いている。触ってみると、一側の組織のうちの一本だけがワイヤーを張ったかの様に硬直しているのだ。弾くとそれだけで、飛び出していた腰椎一番が引っ込んでいくので会心の操法であった。

湿気

ゴールデンウィークが明けて、突然に温かくなった。梅雨にはまだ間があるが、湿気が強いので独特のダルさのある時期だ。

この時期には汗をかきにくくなるので、肌の働きが落ちる。アトピーでお悩みの方には憂鬱な時期だろう。湿疹などが出やすくなるのだ。

整体操法では胸椎五番が発汗中枢だと考えているが、実際に胸椎五番の動きの悪くなる人も多い。

地元の石川県にいた頃、毎年、六月頃になると原因不明の湿疹に悩まされた。その頃は野口整体に縁がなかったので、病院に行ってみたが、診断は漆にかぶれたというものだった。しかし、それもいい加減な話で、輪島塗りで有名な石川県の住人だからといって、一高校生がどうして漆に触れる機会があるというのか。後で野口整体を学んでみると、湿疹が出るのにも納得したものだ。

ところで、野口整体では汗をかきにくくなると、汗で出していた老廃物を小水から出すという独特の考え方をする。その為、汗のかきにくい時期には腎臓に負担がかかる。小水の色が濃く、臭う様になるので観察してみてもおもしろいかもしれない。

この時期の体の不調は、とにかく汗をかかないという事に原因が求められる。熱い風呂に適度に浸かって汗をかくのが健康法だ。サウナもいいだろう。サウナというと北欧をイメージするが、日本でも江戸時代の風呂は蒸し風呂が基本だったそうだ。

整体教室の日程の間違い

整体教室の日程の間違い

× 5月17日(土)13:00~14:30「骨盤を整えよう」
○ 5月17日(日)13:00~14:30「骨盤を整えよう」

ご迷惑おかけします。

Sさんの思い出

昔、四畳半の風呂なしアパートに住んでいた。それも今どき珍しいのだが、住人にも変わった人が多かった。

三部屋向こうに引っ越してきた女性がある時、僕の部屋を訪ねて来た。なんだろうと思ったが、その用件というは留守中に誰か私の部屋に入っていなかったかという問い合わせであった。それからしばらくの事だが、彼女が住む部屋の木製のドアには南京錠が四つも取り付けられた。しかし謎だったのは、四つの南京錠は一つの金具に取り付けられているという事実だった。それだと金具を一つ壊せば用をなさないんじゃないだろうかと僕は疑問に思ったのだが、彼女の中では論理的整合性があるらしいのだ。彼女が引っ越していった後も、その金具はそのままにされて、後に引っ越して来た住人には不思議がられていたものだ。

住人にはもう一人印象深い人がいる。その方は70歳を過ぎた女性で、アパートの二階の角部屋に住んでいた。仮にSさんとしておこう。Sさんはひどく警戒心が強いのだ。二階への階段を上る時には鉄で出来た階段がコンコンと音を立てるが、音がすると彼女は必ずドアを半開きにして外の様子を伺っているのだ。

アパートの住人はSさんの事を陰で八墓村と呼んでいたのだが、ほどなくしてその謎は解けた。Sさんがギックリ腰をやった際に、頼まれて操法をする機会があったのだが、操法が終わるとSさんは語り出した。一年ほど前に、朝の散歩をしていたら引ったくりにあったというのだ。それ以来、不安でその様な行動をとっているという事であった。おもしろいもので、体が弛むと人は語り出すのだ。

不思議な事だが、操法をしてから、Sさんの奇行は止まった。体がひどく縮こまって、萎縮した様になっていたが、体が弛んで心の不安も解消されたのだろうか。フロイト先生、野口先生にお聞きしたいところだ。

その後、Sさんとは親しくなったが、Sさんは時々食べ物を持ってきてくれる様になった。大抵はカップラーメンやオニギリだったが、必ず賞味期限が切れているというオマケがついていて懐かしい思い出だ。Sさんは今も息災だろうか。

余談だが、エキセントリックな人には頚椎二番の曲がっている場合が多いし、暗い人には胸椎二番の硬直した人が多い。慣れると歩いている姿を見ただけでも分かる。しかし、この話は続けると優生学チックになってしまうので、口が滑らないうちに止めておこう。

心理指導

ご夫婦で整体に来られた方がいて、ご主人の体を拝見すると、飲み過ぎの体をしている。そこで飲み過ぎですねと言ったのだが、すかさず奥さんが「ほらみなさい」とのコメント。結果的に、ご主人を最近は減らしているんだと頑張らせてしまった。

これは心理指導の失敗例だ。二人の夫婦関係への配慮が足りなかった。これではご主人は反発心からますます酒を飲む事だろう。人間の体よりも心の方が難しい。

整体操法では背骨や体から拾い出した様々な情報を元に、生活にアドバイスすることを行なう。それを心理指導と呼び倣わしているのだが、こういったものは技術というよりは、人柄とか人間観察力が要求されるので、方法論にならない点が難しいところだ。だからこそおもしろいのだが。

6種

忌野清志郎さんが亡くなったが、若い頃から無茶をやっていた人は早死にするな。20代の頃に知り合った年かさの友人達も、40代も半ばになると、急に病気になったり自殺をしてしまったものだが、体力が尽きるのだろうか。

20代は力を蓄える時期で、30代は力の使い方を考える時期で、40代は生き残りを計る時期だと、彼等を見て薄らぼんやり思ったものだ。孔子が聞いたら、鼻でせせら笑うだろうか。

九品仏に浄真寺というお寺があって、朝の僕のお散歩コースなのだが、先日、散歩をしていたら、道の途中にいるホームレスに目が留まった。どこかで見た顔なのだ。30秒ほどジーッと見ていたら思い出した。昔、工事現場で一緒に働いたことのある人だった。この数年で一番のホラーだったな。

ところで、工事現場で働いていた頃にNさんという人がいて仲がよかった。口の威勢のよさとは裏腹な人間の繊細さが好きで、気があった。Nさんは×イチだったが、結婚相手の父親が経営する会社に就職していて、離婚と同時に失業。工事現場で生計を立てていた。口では空元気を飛ばすのだが、人間的に脆いところがあったから、この人大丈夫かなあと心配していたが、やっぱり二年ほど経ってポッキリ折れた。先行きのなさに絶望したのだろう。

金がない事は若いうちは耐えられるし笑い話にもなるが、年を取るとどんな病魔よりも効いてくる。しかもそれは子どもの教育に反映して遺伝するのだ。

Nさんは体癖でいうと六種が強かったが、こういうタイプは自分が弱るほど口は強くなるが、そういう時はむしろ危ない。情熱的だが、情熱を維持する持続力には欠けるタイプだ。呼吸器が働かなくなるので、梅雨の息苦しい季節には弱りやすい。熱めのお風呂にでも入って、汗をよく出すことだ。

グラン・トリノ

コロンビアの方と文通が続いている。最初は「国は違えど我々は志を同じくする同志だ」という内容のメールを英語で送るつもりだったのだが、「同志」という言葉を使うと、僕が共産主義者だと誤解されかねないと思えたので、「仲間」という意味の英語にしておいた。やれやれだ。

コロンビアは今、左翼ゲリラが跳梁跋扈していてたいへんな政情なのだ。

ゴールデンウィークは忙しいが、仕事の合間をぬって映画の「グラン・トリノ」を見てきた。クリント・イーストウッドが主演している作品だが、素晴らしい。これを一本見れば、この先一年は映画を見なくてもよい。

アメリカは今世紀中に非白人が、人口の五割を超えるそうだ。アメリカンスピリットは、その非白人にも受け継がれていくというのが作品のテーマであった。

野口整体も国境・民族を越えたのだ。


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