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2009年7月

プロフェッショナリズム

最近、僕のところにはダンサーやスポーツ選手など、職業は様々だが体のプロが訪ねて来る様になった。

プロは体への意識が高い。プロにとっては体が資本なのだから、それは当り前の事だ。野口整体への関心も持ちやすいのだろう。

そういった人達と話をしていると、体の中心が取れないといった様な抽象的な表現をするのがおもしろいところだ。僕は哀れなほどの運動音痴なので、そういった体のプロとの間に共通言語を持てるのが何だか不思議でもある。

実際に体をみてみると、足首の動きが悪かったり、股関節が硬直しているという事があるのだが、そうした体の硬直したところを調整すると、整体を受けた方からは、足の親指に体重が乗る様になって重心が安定したという様な感想を頂く事がままある。

しかし、そういったプロの方たちの体の状態が悪いのかというと、まったくそんな事はない。整体をする側からすると、実に弾力のある背骨をしていて、まるで高級車のメンテナンスをしている様な気分にもなるのだが、プロは体への意識が高いので、ちょっとした異常に対しても自覚的なのだ。プロのプロたる所以であろう。

体に対して意識を持つという事が、健康への最初の一歩である様に思う。疲れている人に限って、俺は疲れていないと言うではないか。疲れに自覚的でさえあれば、疲労が蓄積する前に上手に休みをとれるものだ。プロに限らず、多くの人に自分の体と対話をする事を薦めたい。野口整体はその最良の手段のひとつである。

整体教室 8月のスケジュール

7月29日(水)19:00~20:30「体癖 体と性格の関係を知る」
8月05日(水)19:00~20:30「愉気 手当ての基本」
8月09日(日)14:00~15:30「背骨に触って、体について知る」
8月12日(水)19:00~20:30「体の急処について」
8月19日(水)19:00~20:30「夏の体、夏バテ対策」
8月25日(火)13:00~14:30「活元 体の中の感覚に集中して行なう体操」

教室

整体の教室に来ている方から、もう少し本格的に整体を勉強したいという要望を受ける事が多くなった。たいていは女性だ。

本格的に勉強する場として研究会を用意しているのだが、ちょっと癖のある男の人ばかりが来ているので、薦めにくいものがある。どうしようかなあと思うところだ。

ひとつの解決策として、教室をマニアックにするという事を思いついた。実際のところ、今やっている内容でも、充分にマニアックだとも思うのだが、それでも飽き足らないという人を対象に、来月からはもう少し内容を濃くしてみる事にする。

野口整体はやはりおもしろい。見るもの聞く物がまったく新しいはずだ。自分の中に新しい知識の体系を築いていく作業は、純粋に楽しい。なるべく多くの人と楽しみを共有したいと思っている。



風邪

先日の整体教室では、野口整体の風邪についての考え方と手当ての方法をテーマにした。

風邪の効用を説く野口整体だが、間違っても風邪を放っておいてよいという意味で言ってはいない。むしろ生活で注意するべき点が多い。

・体を冷やさないこと
・その為に肌着は頻繁に着替えること
・水分をタップリとること
・発汗を促進する為に胸椎五番に愉気すること
・熱が下がった平熱以下の時期に安静にしていること

風邪を上手に経過させると、体は元気になる。それは日々自分で体験して、人の体をみて実感しているところだ。

野口整体の風邪に対する考え方でおもしろいのは、風邪を種類分けしている点だ。呼吸器の風邪、泌尿器の風邪、消化器の風邪といった様に、体の疲労に応じて風邪をひくという考え方をしている。食べ過ぎが続いてお腹が疲れると、消化器の風邪をひくといった具合である。そうした場合には、自然と下痢をしてお腹の調子は整うのだが、体の自然治癒力は実に精妙に働くのである。野口整体の施術というのも、そうした体の機能の正常化を目的としている。

タスポが導入された後に、顔認証で成人の判定をする煙草の自動販売機というのが登場した。これは顔の皺やタルミで年齢を確認するという仕組みのもので、僕も時々利用するのだが、先日、風邪の後に煙草を買おうとすると、未成年扱いされてしまって買えないので、風邪で若返るのかとびっくりした。

その後、興味を持って同じ自販機で煙草を何度か買っているのだが、疲れている時には煙草を買えるのだが、元気な時には認証がされないという事を発見して大笑いした。

我を怪しむ

我を怪しむと書いて怪我と読ませるが、人の体を見ていても、怪我に事故性よりも必然性を感じることがある。

例えば、足首の捻挫が癖になってしまっている人が時々いる。そういった人の足首をみると、普段から足首が内側に反っていて、これはもう捻挫をする為の準備をしているとしか思えない。捻挫は、するべくしてしているのだ。

病気などでも、病名がついた瞬間から病人になるかの様に錯覚をしがちなのだが、ローマへの道は一日にしてならずである。病名がつくと、フッて湧いた不幸の様に感じるが、病気になる前提としての長い生活があるのだ。(何事にも例外はあるからそれは除く)

病気だからといって特別な操法というのは存在しない。病人を病人として扱わないから発生する力があって、そこに野口整体の存在意義はある。

腰が痛いという人の体をみると、食べ過ぎの状態という事がよくある。そういった人に僕がやるのは腰痛の操法ではなく、食べ過ぎの操法である。すると、三日くらい経ってから、大量の便が出てそれで腰痛がなくなるという事がよくある。果たして、そういった人に腰痛の操法をして効果があるのかというと、それは疑問だ。

整体入門

整体の本を買うならどれがいいのかとよく聞かれる。そうした時に何時も冗談で言うのは、僕以外の本なら『整体入門』がお薦めですというものだ。整体の世界観が分かりやすく説明されているのだ。

30年以上前の本だが、今日でもある部分は最先端の内容だ。こんなアヴァンギャルドなものはないと僕などは思うのだ。

しかし、僕があまり野口晴哉先生がこうおっしゃっていたという様な書き方をしないのは、書き写すのが面倒臭いというのが最大の理由なのだが、生きている人間が自分の言葉で話すべきだという価値観を持っているからでもある。なんで?と人から発言の根拠を問われた時に、野口先生がこうおっしゃっていますでは馬鹿みたいじゃないか。(十年後くらいには、若さゆえの傲慢だったと、もしかしたら反省しているかもしれない)

『臨床家のための整体操法入門』も実質二週間くらいで書いているのだが、ほとんど参考資料なしで書いた。頭の中の記憶で書いたので、誤植も出てきたが、結果として、分かりやすい本が出来た。稽古日誌をそのまま本にした様な内容になっているが、自分が整体を勉強していた時に、こういう本があったらよかったなという思いであの本は書いた。


整体入門 (ちくま文庫) Book 整体入門 (ちくま文庫)

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鳥肌

変わった特技を持った友人がいる。彼は何時でも、自分の意思で鳥肌が出せるのだ。今から出すぞと言うと同時に、彼の腕一面には鳥肌が出て来る。

気持ちが悪いなあと思いつつも、どうやって出してるんだと訊いたのだが、その方法は小便を我慢している体の状態をイメージするというものだった。まったく何の役にも立たない特技だが、自分でやっても出来なかったので、スゴイと思った。

そういえば以前、脈拍を自在に変えられるという人に会ったことがある。ヨガの達人は自在に心臓の鼓動をコントロールするというが、その人は別にヨガマスターでも何でもなくて、やはり本当に怒った気分をイメージすると、脈が速くなるとの話だった。

普段から心と体がひとつのものだと言っている手前、そういった事が出来ると説得力があるので、ここのところ、鳥肌を出す練習をしているのだった。

病気

病気治しはやっているのかという問い合わせも受けるのだが、病気を治そうとすると、好転反応がたいへんなのだ。普通の健康な人に操法をしても、眠い・ダルい程度だが、体に何か溜め込んでいる人の場合、下痢や発汗など、排泄反応が激しい。特に現代病は栄養過剰の産物なので、下痢が多い。

テクニカルな問題は、実はたいした問題ではない。脊椎を調整すれば、自然と自己治癒力が取り戻って、多かれ少なかれの好転反応は起こる。そして、好転反応が起きれば体は元気になる。むしろ操法を受けて、体に好転反応が起こった時に、操法を受けた人が安心して過ごせる様な心理指導が重要なのだ。どこに触るのかといった様な方法論は枝葉末節だ。(臓器移植の問題だって、テクニカルな問題よりも、倫理的な問題の方が重要なのだ。)

僕は普段、6ミリの煙草を吸っているが、12ミリの煙草を吸うと、強すぎて途端にカラ咳が出て来る。煙草を吸いすぎると血が汚なくなって、腎臓に負担がかかるのだが、咳は腎臓の働きを取り戻す為に起こる自然の好転反応に他ならない。こうした時に水をたくさん飲むと、腎臓の働きも高まって、カラ咳も止まるが、体の精妙な仕組みにいつも驚くところだ。

なるべく多くの人に野口整体の考え方を知ってほしい。

人に歴史あり

近所でよく顔を合わせる高齢の女性がいらっしゃるのだが、最近になってその方の半生を聞く機会があった。

戦時中に空襲に遭った話、戦後に女優になって日活の映画に出演した話、銀座のクラブでママをやった話、宝石商になった話などである。何時もの調子で、綺麗なものばかりに関わった人生ですねと返答をしながら、人に歴史ありと思った次第である。

さて、日々人の背骨を見ているが、僕はそこに人生の履歴を見ている。病歴や人柄など、背骨を見ることで色々なことが分かる事があるのだ。

野口整体は背骨主義なので、脊椎の状態に人格と生活、もっというとその人の人生を見てとる。極端な例を挙げると、失恋した人の背骨の状態というのを野口整体では説く。話の前提として、失恋した人の背骨の状態を定義しているのだが、そういった知識を頭に入れて人の体を見ていくと、人の背骨が実に表情豊かに見えて来るのだ。

仕事をしていて、何が楽しいのかと尋ねられる事もあるが、背骨を通して人を知るのが僕の快楽なのだ、

火傷

もうすぐ梅雨が明けて本格的な夏がやって来る。

泳ぐのが好きなので年中プールに行くのだが、お昼休みに近所のプールに行くと、もう人でいっぱいだった。

そういえば、地元の友達が能登半島に別荘を持っていて、時々夏には泊まりに行ったものだ。その別荘は海が近いので、素潜りをするとたいへん気持ちがいい。

ただ、海で泳ぐと日焼けが辛い。2日くらい経つと、色白の僕は黒くはならないのだが、肌が赤くなって痛いのだ。日焼けの度合が強いと、それはもう火傷に近いものがある。

ちなみに野口整体では火傷の時には、仙椎の二番に愉氣することを薦める。元々は戦争の時に焼夷弾でケロイドになるのを防ぐ為の工夫だったらしいのだが、日焼けで辛い時にも効果があるのでご紹介しておく。

7,8年前のことだが、寝起きに素っ裸のままフライパンで目玉焼き作っていたのだが、油が跳ねて腹を火傷した。慌てて流水で冷やした後に自分で仙椎二番にショックを与えたが、おかげで傷痕にはならないですんでいる。野口整体は便利なのだ。

教室

今日は教室だったが、随分と人が集まって少し驚いた。

「背骨にさわってみよう」というのがテーマだったのだが、お集まり頂いたのは殆どが一般の方だ。

野口整体には体の知恵や簡単な手当ての方法が伝わっていて、そういったものは、プロよりもむしろ一般の方にこそ必要なものだ。学びながら楽しんで頂けたなら嬉しい。

野口整体を一般に定着させるのが、僕の最近のテーマだ。元々アヴァンギャルドなものを更に先鋭化させたって、先細るだけで意味がないしね。もっとファンが増えればいいと思う。

反思想

思想の話をする。僕等は思想というと、つい共産主義の様なものを考えてしまうのだが、ああいったものは思想ではない。コーヒーが120円で買えるとか、貯金が美徳だとか、僕等が当り前だと思っている考え方こそが思想で、共産主義の様なものは思想のカウンターとしての「反思想」なのだ。受け売りなんだけどね。

「風邪の効用」に代表されるが、野口整体も現代社会では「反思想」だ。

人間が健康になっていく時に、野口整体では建設の前に破壊があると考える。なぜその様なことを考えるのかというと、具体的には、体操や施術によって好転反応が起こるからだ。

好転反応とは、体が元気になっていく時に起こる三段階の体の変化をさす。例えば、歯が痛い時に喩えて言うならば、その変化は次の様になる。

○弛緩反応
歯の痛みが止まる。

○過敏反応
歯がまたズキズキとして感じられる。

○排泄反応
唾がたくさん出て来る。

弛緩反応までは体が軽くなった様に感じて、整体を受ける人も喜ぶのだが、大変なのは過敏反応の時期で、この時期には何年も前の打撲のあとや古傷などが痛むことがある。そうした部分は、体に悪影響が残っていて、体の動きを悪くしているのだが、そうした部分も好転反応を経ることで体の動きを取り戻していく。

僕自身、整体を受ける過程で、膝が痛くなったり、腕が腫れるという体験をした。アスファルトで膝を打ったことがあるのだが、過敏反応でやはり膝が痛んだ。そして、その痛みがなくなった後には、膝の動きが見違えるほどよくなっていたものだ。

仕事をしていて一番気を使うのは過敏反応の時期だ。しかし、弛緩反応まででは、本当の意味では体は元気にはならないのだ。過敏反応、排泄反応を経て、体は元気になっていく。

フラガール

先日、研究会で会員からフラダンスはどの様に体を動かすダンスなのかという質問を受けた。僕のフラダンスについて知っている事など、映画のフラガールを見た程度の知識しかないのだが、それでも思う事については話をした。

おそらく下手な人がやると、フニャフニャ、フラフラになるだけだろうが、上手な人がフラダンスを踊ると、柔らかい中にも緊迫感がある筈だというものだ。

なぜこの様なことを思ったのかというと、整体操法では緊めることを要求されるからだ。手首も緊めるし、足首も緊めるし、腰も緊める。「能」などの日本的な芸能を見ると、上手な人の舞台にはなんともいえない緊迫感を感じるが、ああいった雰囲気をつくっていく事が必要なのだ。

しかし、要点は緊める中にも柔らかさを創る必要があるという事だ。緊めるというと、筋肉をガチガチに固めてしまう人もいるのだが、それでは動けなくなってしまうので駄目なのだ。緊張の中にも、余裕がなければならない。逆説的に、フラダンスは柔らかいだけでは駄目だろうなと思った次第である。

緊迫感と抑制という事が日本的な美意識だと思う。対して、南方的な踊りというのは表面的には柔らかいが、内には緊張感を孕む。美意識というよりも、民族性の違いかもしれない。

ボディワークに関していうと、緊張しやすい日本人には活元運動の様な体を緩める体操がバランス的に有効だろうし、反対に、ラテン系の民族には逆に体を緊めていく様な体操が有効だろう。

フラガール スタンダード・エディション

右足とガスの関係

野口整体では体と生活の関係を説く。

分かりやすいのは、親指と人差し指の間だろう。ここは便秘が続くと分厚くなるところだ。便が出た瞬間に薄くなるから、触ってみるとおもしろい。その他にも体と生活は様々な関係性を持つ。

先日、三歳の男の子が整体を受けに来た。歩き方がおかしいと心配したお母さんが連れてきたのだ。

歩いている姿をみると、すぐに右足の動きが悪いことに気がついたが、野口整体では右足首の動きが悪いと、お腹にガスが溜まっている状態だとしている。お子さんにはすぐに右足首の調整を行なった。

お子さんの様子を聞くと、近頃なんとなく不機嫌だというのだが、それも野口整体ではガスが溜まっているという事と不機嫌を関連づけて考える。

例えば、赤ちゃんが笑うと、その様子を見て大人はなにか楽しいことがあったのだろうかと考えるのだが、実はそれはお腹のガスが動いた時の現象だ。逆に不機嫌な時には、お腹にガスが溜まっている状態を想像する。便秘が続いてイライラする気分を思い出すと分かりやすいかもしれない。気分とは体調なのだ。

野口整体で説く体と生活の関係は、初めて聞く人には珍しく聞こえるかもしれないが、実は当り前のことを言っているだけなのだ。

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