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2017年9月23日 (土)

プノンペン物語

普段、施術中はあまり喋らない。だから、意外と相手のことを知らなかったりする。

昨日、もう何年も通われているご高齢の女性が、急に身の上話を始めた。そんなことは初めてだ。

お父様は貿易商。その関係で、カンボジアのプノンペンに生まれた。子どもの頃はアンナン語で喧嘩をした。近所のお寺で、釈迦の蜘蛛の糸の説話を聞いたことを覚えている。

お屋敷で幸せに暮らしていたが、やがて迎える敗戦。ある夜、ジープが乗り付けて来る音が聴こえる。略奪に来たフランス兵だ。メイドが服を着せてくれて、逃してくれた。戻っておいでという言葉と共に。

しかし、捕まってしまう一家。そして、人生は塞翁が馬。お父様が結核を発症した為に解放されて、日本に帰国出来たそうだ。

人に歴史あり。個人史と世界史が繋がる、ある世代の栄光と挫折。昭和は偉大な時代だった。

東京を離れるという話と共に、そんな身の上話をされるので、これが今生の別れかと、一瞬、シンミリしたのだが、あ、来月の予約をお願いしますとお帰りになられて行ったのであった。

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